経営破綻寸前の企業を銀行員が再建する。ドラマ『半沢直樹』(TBS系)のようなケースは、過去にいくつも存在している。しかし、銀行が再建に乗り込んだからといって、必ずしも成功するとは限らない。
金融ジャーナリストの小泉深氏が語る。
「再生はできなかったが、銀行による救済で破綻企業の雇用、社員を救ったというケースがあります。
新潟鉄工所は1980年代から事業展開に行き詰まりながら積極投資を続け、6期連続赤字を記録して2001年11月に会社更生法の適用を申請した。メインバンクの第一勧銀(現・みずほ銀行)も専務を派遣していたが、収益力回復の目処が立たず、追加支援は困難と判断した。
結果、新潟鉄工所自体は清算・解散しましたが、多くの事業は第一勧銀系列の石川島播磨重工業(IHI)が引き受け、社員の雇用を守った。一勧が石播に働き掛けをしたのでしょう」
銀行系列の力が発揮された、古き良き時代だったということか。
近年になると、そもそも銀行が企業再生に乗り出すケース自体が減っている。東京商工リサーチ常務情報本部長の友田信男氏が言う。
「1990年代の終わりから2000年代にかけて、銀行は不良債権処理の問題を抱えて、企業を助けたくても助けられない状況にありました。そういう中で、バブル期に過剰に貸し込んだ企業から経営難に陥る企業が出てきた。
その代表がダイエーで、“トゥー・ビッグ・トゥー・フェイル”、大きすぎて潰せないという状況になった。助けることも潰すこともできず、銀行の限界を露呈してしまったわけです」