懸命に義理の父を介護した長男の嫁が、相続では蚊帳の外になる──。旧ルールでは、相続できるのは相続人に限られるため、遺言書に言及がなければ、息子の妻などはどれだけ献身的に介護しても遺産を受け取れなかった。
しかし、40年ぶりの相続に関する民法大改正によって、2019年7月から、相続人以外でも何かしらの貢献が認められる場合、「特別寄与分」として相続人に金銭を請求できるようになった。
「介護に限らず、長患いの看護を続けたり、仕事を無償で手伝うなど、故人に特別の貢献をしていれば特別寄与分が認められるようになりました。これまでは遺産分割協議を経て調停や裁判にもつれ込むことが多かったが、新ルールではこうしたトラブルの回避が期待されます」(夢相続代表取締役で相続実務士の曽根惠子氏)
特別寄与分の金額は、相続人との話し合いで決まる。例えば、父の遺産5000万円を長男と次男で相続する場合、長年父の介護をひとりで担った次男の嫁に対し、日頃から嫁の貢献に感謝していた長男が1000万円の寄与分を認めたとする。
その際、5000万円から特別寄与分を引いた4000万円を兄弟で2000万円ずつ分ける。結果、次男夫婦は兄より多い3000万円を相続する。