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大幸薬品:「クレベリン」の成長は想定以上で、業績拡大を期待

大幸薬品(4574):市場平均予想(単位:百万円)

大幸薬品(4574):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 大幸薬品(4574)は「ラッパのマークの正露丸」でお馴染みの医薬品・医薬部外品メーカーです。

「正露丸」シリーズを主力とする医薬品事業と、ウイルス除去・除菌・消臭製品「クレベリン」を展開する感染管理事業の2つの事業を国内外で展開しています。

 主な商品は、下痢や食あたり、歯痛など幅広い薬効を持つ「正露丸」やその独特なニオイを抑えた「セイロガン糖衣A」、下痢止め「ピシャット」、整腸薬「ラッパ整腸薬」など内服薬のほか、ウイルス除去・除菌・消臭製品「クレベリン」シリーズがあります。

 100年以上にわたって正露丸で成長を遂げてきましたが、目下成長ドライバーとなっているのが感染管理事業で、2020年3月期においては売上全体の62%を構成する主力事業となっています。

 同社は国内外で高い認知度を誇る商品展開によって成長を遂げています。

 超ロングセラーの「正露丸」シリーズに続き、「クレベリン」というイノベーティブな商品投入で再成長段階に突入。クレベリンはエビデンスとデザイン双方向からアピールする、巧みなマーケティング戦略によって「総合ウイルス除去、除菌ブランド」として市場ポジションを確立することに成功し、現在の成長ドライバーとなっています。前期もクレベリンの寄与が大きく、44%増収、88%増益を達成。同時に株式時価総額も2018年度から2019年度までに2.5倍に急成長しています。

注目ポイント

 今期は、決算月変更に伴う9か月の変則決算となりますが、それでも前期売上(149億6600万円)を20%、営業利益は+44%も上回る見通しとなっています。引き続きマーケティング戦略によるブランド認知の効果が期待できることに加え、前年発売の新シリーズ「クレベ&アンド」も好調なスタートを切っているほか、生産能力が今期以降10倍にまで拡大する見込みであり、感染管理事業の見通しは非常に明るいです。生産能力増強については、この秋までに3倍に引き上げられるとのこと。5月時点では欠品・品薄状態が続いていたことから、売上の底上げが見込まれる状況となってきました。

 なお、クレベリンについては新型コロナウイルス発生以前はインフルエンザが流行する冬に売れ、夏は売れないという傾向がありましたが、コロナ発生を機とした衛生管理・感染予防意識の高まりを背景に1年を通して売れる製品に格上げされたといえます。実際、2020年12月期第1四半期の感染管理事業売上は前期1年の売上の半分以上に達しています。今後新生産ライン稼働により、欠品をカバーできる生産能力を確保することで、さらなる底上げが期待できると思われます。

 財務内容ですが、自己資本比率75.9%、有利子負債ゼロ、流動比率3.4倍と優秀な内容となっており、キャッシュフローも良好であることから、足元では、海外展開やマーケティング強化などにかかる先行投資費用は十分カバーできるでしょう。

 株主還元についてですが、計画は大幅に引き上げましたが、配当に関しては17.0円と、コロナの影響が不透明であるため修正されていません。ですが、引き続き好調な業績推移となれば、配当増額される見込みということもあり、引き続き注目です。

【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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