アメリカ株は高すぎて、バフェット氏好みの割安株が見つけられない。インフレが進むとみるならば、資産株が有利だ。ドル安が進むと予想するならば、非ドル資産の投資が有利だ。
ただ、海外投資ならば中国株が真っ先に検討されただろう。かつて、2000年代前半にペトロチャイナに投資して、大きなキャピタルゲインを得ている。現在も、BYDへの投資を続けているが、大きな含み益が出ている。それなのに今、中国企業ではなく、日本企業への投資を選んだ。
その理由としては、グローバル化、自由化の流れが逆流し、中国が経済構造の転換をこれまで以上に強く迫られる、と見ている面もあるからではないだろうか。あるいは、中国の封じ込めを目的とした、アメリカのインド太平洋戦略の実践が進み、日本がその恩恵を受けるという読みもあるかもしれない。
市場関係者の中には、バフェット氏の次の投資先を探そうと躍起になっている者もいるようだ。ただ、バフェット氏は少ない銘柄に集中投資する方針を崩していない。そう考えると、バフェット氏が新たに買い入れしそうな日本株を探して先回り投資しようと試みるのは、得策ではないかもしれない。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。