数ある株主優待の中でもトップクラスの人気を誇る外食大手・すかいらーくホールディングス(3197)が、9月10日に株主優待制度の変更を発表、個人株主の間で衝撃が走っている。
これまでのすかいらーくの優待は、最低単元の100株保有の株主に年間6000円、300株になるとそれが2万円、500株では3万3000円分、1000株以上では6万9000円分の食事ができる優待カードを贈っていた。ガスト、バーミヤン、ジョナサン、夢庵など、多数の系列チェーンで利用できるのが魅力だ。外食チェーンの株主優待は他業種と比べて額面が大きい傾向はあるが、それを差し引いても同社の優待は破格で、“太っ腹優待”として個人投資家から高い人気を集めていた。
ところが、今回発表された変更で、100株では年間で4000円分、300株以上では2万円だったのが1万円に、500株以上は1万6000円、1000株以上は3万4000円と、額面が半額以下になってしまったのだ。投資家から見れば優待内容の改悪に他ならず、この発表を受けて、翌11日の同社の株価は大幅下落し、前日比9.68%安の1521円で取引を終えた。
株主優待の改悪は、優待そのものが目的だった投資家の痛手になるのはもちろんだが、人気が高かった優待銘柄の場合、株価が大きく下落するというデメリットがある。これまでガストやバーミヤンなどで優待カードを使った無料の飲食を楽しんでいた株主たちは、これまで通りの飲食ができなくなるばかりか、株価下落による資産減少に見舞われることになり、まさに泣きっ面に蜂、ダブルパンチを食らうわけである。
すかいらーくは優待内容変更の理由として、「このたびの新型コロナウィルスの影響により不透明な経営環境が続く中、当社では持続的成長の追求を優先事項ととらえ、収益構造改革の一環として株主優待制度のあり方を慎重に検討した結果、株主優待制度を変更した上で継続させていただくことといたしました」としている。
外食産業はコロナ禍でダメージを最も受けている業種のひとつであり、すかいらーくも8月に発表した中間決算では前年同期比で25%もの減収と180億円もの営業赤字を計上している。株主への大盤振る舞いを続ける余力がなくなっていることは明らかであり、一概に株主軽視と責めることはできないだろう。