JR東日本は、2021年春のダイヤ改正で、東京駅から100キロ圏内のほぼ全路線で終電時刻を繰り上げることを発表した。終着駅の到着時間を30分ほど繰り上げ、午前1時ごろに設定する予定だ。JR西日本も来春のダイヤ改正で、主要在来線の終電時刻を10~30分繰り上げることにしている。JRと連動して乗り換えダイヤを作成する各私鉄も、追随してダイヤを変えて終電を早めるとみられている。
飲み会の2次会、3次会需要を取り込む繁華街のカラオケやバー、スナックにとっては打撃となる可能性があるが、対照的に、「終電難民」が増加すると“ニンマリ”の業種もある。
「タクシーや夜行バスは需要が増えて潤う可能性があります。ネットカフェやカプセルホテルなどの簡易宿泊施設もプラスになるかもしれません」(第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏)
タクシー関係者には葛藤もあるようだ。
「需要が増えることは有り難いですが、ただでさえ人員不足なので、シフトが増えるなど労働環境が悪化するのではないか」(都内のタクシー運転手)
ラッシュアワーが変わる
交通機関への影響はJRや私鉄にとどまらない。なかでも心配されるのがLCC(格安航空会社)だ。コロナの影響で欠航になっていた深夜便が来春にかけて復活した場合、次のような影響が予想される。
「LCCの深夜便は1~3時発がほとんどです。早くなった終電を逃してタクシーで空港に行くしかなくなったり、終電で行けば空港到着が早すぎて、発着までの待ち時間が増えるなどの不便が予想されます」(経済ジャーナリストの福田俊之氏)