“物言う株主”の追跡も
――最近は野村證券、大和証券、SMBC日興証券といった大手もネットトレードに本腰を入れてきた。どんな差別化を?
和里田:個人投資家に人気の3大テーマは、新規株式公開、配当、優待です。関心の高いこれらのテーマをきちんと押さえつつ、それらに関わる情報を、より分かりやすくご提供していく必要があるでしょう。
最近、顧客獲得の鍵は投資を通じて楽しさを感じてもらうことだと考えています。個人投資家の方々にとって利益が出ることはもちろん重要ですが、特に50代以上のシニア層は株式投資を通じて社会と関わっていたいという知的好奇心が強い。
投資のために情報収集したり、セミナー参加などで自己投資したり、株主総会に参加したり……。投資を通じた学びというか、投資を通じて充実度を高めていく体験を求めている方が多いのです。
ですから「投資って楽しいな」と思えるようなコンテンツをご提供していくことが重要ですね。「年金だけで老後の生活が成り立たないから、投資、資産形成しましょう」って、なんか始める前から気が滅入りますよね。
現状、投資情報はウェブ中心で文字コンテンツが中心ですが、動画でも提供していくとか、やり方は色々と考えられます。
――具体的に進行しているプロジェクトは?
和里田:最近、企業に物申す株主が「アクティビスト」として注目されています。今年4月には、個人の株式投資でもアクティビストの取引動向を銘柄選びに活用できる「アクティビスト追跡ツール」という投資情報ツールの提供を始めました。
アクティビストと呼ばれる投資家が企業にどんな提言を行ない、それを企業はどう受け止めるのか、それによって株価はどう動くのか、一緒になって追いかけてみましょうという試みです。平たく言えば、アクティビストに倣う“コバンザメ投資”の提唱ですが、これも株取引の楽しみの1つになっていくのではないかと思います。