“コロナ前”の生活に一歩ずつ近づきつつある一方で、経済の冷え込みは雇用や収入に大きな打撃を与えている。給料は減っているのに、家にいる時間が長くなったことによってネットショッピングなど出費が加速。最初は数万円分だけのショッピングのつもりだったが、段々とエスカレートしていき、自己破産予備軍になる女性もいるという。司法書士法人杉山事務所の杉山一穂代表が指摘する。
「そうしたかたはたいてい、複数のカードでリボ払いに手を出しています」
リボ払いとは、クレジットカードでどれだけ高価なものを購入しても、毎月の支払額を一定額にする支払い方法だ。10万円の買い物をしても月1万円の支払いで済むため、別の買い物をする余裕が生まれる。
一見、気軽な支払い方法にも感じられるが、買い物を重ねるといつまでたっても支払いが終わらないどころか、利息(手数料)が膨れ上がり、毎月利息分だけ払って元本が残り続ける負の連鎖が続いてしまう。
「ここから抜け出せない女性は本当にたくさんいます。リボ払いにするとポイント還元率がよくなったりキャッシュバックがあるなどの文句に誘われて、リボ払いに足を踏み入れてしまう女性が多いです。金融機関も商売ですから、垣根を低くしているんです」(杉山さん・以下同)
相談に来る女性のなかには、意外にも看護師が多いという。
「看護師はもともとストレスの多い職業で、買い物で憂さを晴らすかたが多いですし、収入が安定しているためカードの上限枠も高い。気づいたら、信じられない借金がかさんでいたということになりかねないのです」(杉山さん)
こうした悲劇を防ぐため、消費者金融系のキャッシングでは、年収の3分の1以上を貸してはならないという法律がある。しかし実態は抜け穴だらけだ。
「銀行系のカードローンはこの法律の対象ではありません。リボ払いも同様です。銀行系だから安心、クレジットカードだから安心と思っていると、痛い目を見ることになります」