働き方改革や人手不足の流れに新型コロナウイルスの感染拡大が相まって、ファミリーレストランの時短営業が加速している。今年7月からはガストやバーミヤン、ジョナサンなどが全店の営業終了時間を 23時30分に変更し、深夜営業を廃止している。ジョイフルも200店舗閉鎖、24時間営業の縮小を発表している。
こうした「脱・深夜営業」の流れに気が気でないのは “深夜族”だ。彼らの主戦場ともいえるファミレスが奪われた今、何を思い、どこに居場所を見出しているのだろうか。
「私の自宅近くのファミレスも深夜営業がなくなりました。僕はフリーランスで、よくファミレスで仕事をしていました。自宅だと集中できないし、すぐに怠けてしまうので……。独立してから5年間、ずっと深夜にお世話になっていたのでショックです」
そう嘆くのは30代のフリーランス男性・Aさんだ。行きつけのファミレスには、週4日以上深夜に通っていたといい、独特の空間や暗黙のマナーのようなものがあったと振り返る。
「オフィス街に住んでいるので、客層は仕事している人が多く、週末には終電を逃したサラリーマンが多かったです。普通のカップル、バンドマンや水商売関係の人も。別れ話やケンカなどのドラマもありました。店員さんには、顔を覚えられていて、ちょっとした雑談も楽しかったものです。適度な緊張感と謎の安心感で、とにかく深夜のファミレスは仕事が捗りました。仕事終わりのビールがまた格別にうまかったな……」(Aさん)
深夜のファミレスという大切な居場所と職場を失った今、Aさんはどこでどのように仕事をしているのだろうか。