子供の人生を支配しようとする“毒親”が増えている。日本では、仕事のキャリアを積むことができなかった女性が、自分の夢を子供に託し、過度に支配するケースが多いという。
キャリアカウンセラーの小川健次さんは、「毒親に育てられると、卑屈になったり過度に献身的になったりと、人間関係のバランスがうまく取れなくなります。その結果、他人を支配したり、支配される関係を自ずと望むようになります」と言う。そこで、38才会社員の女性の実例をもとに、毒親への対処法を見ていこう。
【実例】自分の夢を娘に託して支配する母
私の母は、国際弁護士を目指して働きながら勉強していたとき、医師である父と出会い、妊娠して結婚。私の育児のため、弁護士の夢を捨てたそうです。その反動か、母は私に自分の夢を託したんです。母の監督のもと勉強漬けの毎日で、100点を取れないと殴られました。その結果、私は母の希望する大学に合格しました。
しかし、このままでは自分の人生が壊れてしまうという恐怖を感じ、前から興味のあった美術系の専門学校に勝手に進学しました。そのときの母の怒りはすさまじいものでした。泣きわめき、私を殴り、家中のものを投げつけてきました。父が止めなかったらどうなっていたか……。私はすぐに実家を離れ、父の援助のもと、専門学校に通いました。
その間も母はあきらめず、国際弁護士になることのすばらしさ、いまから勉強すればまだ間に合うなどの手紙やメールを頻繁に送ってきました。就職後はさすがにその話はしなくなりましたが、今度は「医師か弁護士と結婚しなさい」と連絡してくるように。
現在、おつきあいをしている人がいますが、彼は年下のカフェ店員。母が絶対に反対します。母に抗いたいのに、心のどこかで、これ以上がっかりさせたくない、という気持ちもあり、彼からのプロポーズを素直に喜べません。
(38才・会社員)