東京・港区の麻布界隈には、“麻布妻”と呼ばれる富裕層女性たちが住む。夫たちはエリートばかりだが、その中に「うちの主人は教祖」という女性がいるという。ところが、夫を神と崇めるばかりに、周囲のママ友とうまく人間関係が築けないことも。自身も麻布妻でライターの高木希美氏がリポートする。
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アラフォー麻布妻の京子さん(仮名、以下同)のご主人は、東大医学部卒の超エリートで、現在は開業医。京子さん本人もお嬢様で小さい頃から英才教育を受け、東大医学部を目指していたものの、慶應医学部に。その結果、京子さんは「東大コンプレックスを抱えた人生」だと言います。
そんな京子さんと知り合ったのは、子供のお稽古ごとが一緒になったのがきっかけでした。同じようにお稽古事の間に子供を待っていたママ友数人で会話が始まりました。
お互いの洋服を褒め合うごく普通のママトークをしていたら、一番地味だった京子さんは「ブランド品を持つのって、自信がないからだと思うんです。人間は中身ですよね。私は、生活できるレベルの衣類で十分。質素が我が家のモットーなので、ごまかすような服飾は必要ないと思っているんです」と言い出しました。
そして、「そのモットーを教えてくれたのは、夫なんです」とスマホを取り出します。待ち受け画面には、笑顔のご主人のドアップ写真が……。
「根っからのエリートコースの医師で、私の教祖です。子供にとってはスター。彼は素晴らしい神のような人、尊敬しかない」
そう堂々と語りました。普段、夫に関しては愚痴を言い合うのがママ友の挨拶のようなもの。中には夫を「旦那くん」と呼んで円満マウンティングをする人もいますが、京子さんのようにノロケでもなく「教祖」と夫を崇めるスタイルは珍しく、聞いていた人は目を丸くしていました。
まもなく子供たちのお迎えとなる時間、一緒にいた紗智子さんはLINE交換を提案しました。
「この時間の暇つぶし、毎回とはいわないけれどお茶をする事もあるでしょうし、迎えに行けないときや休んだ時のフォローも便利だし、よかったらLINE交換しませんか?」