新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、自宅での過ごし方を楽しむための「イエナカ需要」が活発になった。それに伴い、テイクアウト需要が急増したことは、“新しい生活様式”の一例だろう。
緊急対策として東京都は、テイクアウト、デリバリー、通販への取り組みを助成する「業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業」を始めるなど、テイクアウトという新たなサービスによって売上を確保する取り組みを後押し。実際、コロナ以前と比べると、テイクアウトも兼ねる店舗は小さな個人経営店を含め、多岐にわたるようになった。今やあらゆるものが自宅で食べられる、さながら“テイクアウト戦国時代”の様相を呈している。
テイクアウト寿司では大人数向け商品に人気集中
そんな中、ひときわ需要を伸ばしているテイクアウト商品がある。“ファミリーパック”や“お持ち帰りセット”などと謳われる、家族やグループで楽しむことができる商品だ。
「緊急事態宣言が出された4月から5月に関しては、テイクアウト商品の売上が昨年と比べて約2倍~3倍まで高まりました。6月も昨対を超えて推移しました」
こう説明するのは、人気回転寿司チェーン「スシロー」を展開する(株)スシローグローバルホールディングス広報担当。もともとスシローは、コロナ以前から「お持ち帰りセット」と称してテイクアウトを行っていたが、コロナによる需要の変化でテイクアウトが急増。テイクアウト商品の中では、「『スシローセット12種(3人前)』というスシローで人気のネタを集めたセットが、4月のお持ち帰りセットランキングで1位でした」(同前)と言う。
他の回転寿司チェーンを見ると、「かっぱ寿司」では、5月にテイクアウト限定の新メニューとして、総量約3.5キロの「メガ海鮮イクラちらし寿司」、「家族まんぷく いまだけセット」といった大人数向けのテイクアウト商品をリリース。ほろ酔いでご機嫌のお父さんが、「お~い、寿司買ってきたぞ~!」と折詰を片手にぶら下げてお持ち帰りする一昔前の姿からは想像できない、大容量商品が増えている。