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テイクアウト戦国時代 「ファミリーパック」が求められる理由

テイクアウトに注力せざるを得ない事情

 緊急事態宣言中においては、ファミレスが苦戦をしいられる中、ファストフード店が好調を維持。4~5月の前年比売上高で、マクドナルドやモスバーガーが110%ほどで推移する一方、ケンタッキー・フライド・チキンは130%超えを達成。「シェアBOX」など家族客に発売した期間限定商品が、功を奏す形になった。ケンタッキーが頭一つ抜けているのは、家族向け、グループ向け商品に長けていたからだ。

 同様に家族向け商品に活路を見出している企業は少なくない。「築地銀だこ」を展開する(株)ホットランド広報室は次のように語る。

「安全に『家食を楽しむ』という流れの中でテイクアウト、宅配のニーズは明らかに高まったと思います。弊社も、『だんらんパック』が好調です」

「築地銀だこ」で、今年7月の「だんらんパック 16個入り」の発注店舗数は159%、出荷数135%(どちらも昨年同月比)と増加、「だんらんパック 24個入り」にいたっても発注店舗数168%、出荷数188%という具合に、数字上でも顕著にその傾向が表れている。しかし、一方でテイクアウト商品に注力せざるを得ない事情もあったという。

「『築地銀だこ』は、路面店のほかに大型商業施設に出店しているケースも多い。フードコートは、現在もソーシャルディスタンスを保たなければいけないため、本来の席数ではない状態が続いています。イートインの需要がなかなか戻らないため、テイクアウト商品に力を注ぐといった背景がありました」(同前)

 あらゆる飲食業態がテイクアウトを行う群雄割拠状態──、いかにして数ある中から選んでもらうか? 一つの解決策が、巣ごもり消費が高まる中で、家族の時間やグループでの家飲みと相性の良い、中規模~大規模のテイクアウト商品だったというわけだ。「築地銀だこ」の「だんらんパック」もそうした追い風に乗る形で、需要が伸びた。

単なる「持ち帰り商品」からの変化

 前述のスシローグローバルホールディングス広報担当が話す。

「4月から『スシロー手巻きセット(2~3人前)』というネタとしゃりが分かれているメニューを販売していますが、手巻きずしとして楽しまれるのはもちろん、手毬すしにしたり、すしケーキ風にするなど、様々な楽しみ方があります。こちらは4月のお持ち帰りセットランキングで3位になるほど好評でした。またSNSでは、すしをテイクアウトし、自宅で線路を走る電車のおもちゃと組み合わせて自家製の“回転すし”を楽しまれている投稿もありました。ステイホームでも工夫次第で、家族の楽しい思い出を作られている方もいらっしゃるようです」

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