「おそらく、母も車がないせいで嫌な思いをしたこともあったと思います。それでも貫けたのは、明確なビジョンと守るべき人がいたからでしょう。私もいつか必要になる時のためと思って、多めに貯金するクセが身に付きました。とはいえ免許は持っているので、旅先でレンタカーを使うときはあります」(Bさん)。
都内の大手企業で働く30代の女性会社員・Cさんは、人気男性アイドルグループのファン。地方で開催されるライブに“遠征”することもしばしばある。仲間と出かけるために、車の購入を考えたこともあったが、「それなら家を買った方がいい」と言う。
「どうせローンを組むなら車より家かなと思います。趣味で散財して貯金もそれほどない私が言う立場ではないですけど、だからこそ寝る場所だけは確保したいというのが本音です」
Cさんは、「趣味仲間でお金を出しあって、家を買ってシェアハウスするのもありだとも思っています」と笑う。
コロナ禍で車の利便性が再認識されている一方で、都市部在住者の中には「マイカー不要論者」も少なくない。彼ら/彼女らの話を聞くと、たとえお金があっても車を買わない選択をする人たちならではの、お金に対するシビアな姿勢が垣間見えた。