今春、母を家で看取った後からひとり暮らしを始めた会社員の坂田博子さん(57才・仮名)は残された保険証券を見てため息をつく。
「こんなにたくさん保険料を払っていたのに、母自身はその恩恵を受けられずにこの世を去った。父は5年前に他界し、私も独身。これからひとりで生きていくにあたって、生命保険に入り続けていても、意味がないのではないかと思ってしまいます」
それだけではない。母親と2人で暮らしていたときに契約した自然食品の定期購入の量は、いまとなっては多すぎる。
「ひとりなら、掃除も洗濯も、毎日やらなくてもそれほど散らからない。生活全体を、ひとりに合わせてサイズダウンする必要があると思うのですが、その方法がいまひとつわかりません……」(坂田さん)
女性の平均寿命が伸び、配偶者がいても子供がいても、死別や自立によって最後はみんな「おひとりさま」になる可能性が高いいま、坂田さんと同様の悩みを抱える人は多い。そこで今回、女性がひとりで生きていくうえで「やめるべきもの」はなんなのかを調べた。
医療保険以外は解約していい
冒頭の坂田さんのようにおひとりさまになったとき、真っ先に見直したいのが生命保険だ。過去に加入した保険の掛け金をそのまま支払い続けるのはもったいない。経済ジャーナリストの荻原博子さんは「解約していい」と話す。
「保険は自分に何かあったとき、ほかの家族が生活していくために入るもの。パートナーが亡くなり、子供が自立しているなら、生命保険を掛けておく必要はありません。
“自分が病気になったときの費用が心配”と思うかもしれませんが、日本には高額療養費制度があるので、最低限の医療保険に入っていれば充分です」(荻原さん)
生命保険文化センターの調査によれば、女性の年間払い込み保険料は17.4万円。受け取ることのできないお金をせっせと支払うくらいなら、貯蓄に回した方がいいだろう。