吉田みく「誰にだって言い分があります」

お金がなくても「Go Toトラベル」しまくる20代OLの本末転倒

会社からの非情な告知

 それは、“冬のボーナス全額カット”の知らせだった。理由は新型コロナウイルスの影響により休業状態が続いてしまったから。例年なら30万円は下らないボーナスを、今後の旅行代金に充てようと考えていたため、それが支給されないのは非常に困ってしまう、とありささんは嘆いていた。

 予定した5件の旅行のなかには、同じ職場で働く人同士のものもあったため、同僚も同じ気持ちだと思っていたのだが……。

「『ボーナスカットはキツイよね。でも、そんな時こそ貯金を使っちゃえばいいよね!』と、やたらポジティブな回答が返ってきて、『私は貯金がない』とは言えませんでした」

 実はありささん、給料は全て使ってしまうタイプだそうで、貯金は全くないそうだ。もしそうなら旅行をキャンセルするしかないと思うが、彼女はそうはしなかった。

「キャンペーンを利用しないのはもったいないですし、お金がないから断るなんて恥ずかしいです。お金の工面方法はまだ考えていませんが、パパ活とかキャバクラの体験入店をちょっとすれば、何とかなるかなって」

 年末にかけて、毎週のように旅行の計画が入っているありささん。お金に対する不安な表情を見せつつも、何とかなるのではないかといった楽観的に構えていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で停滞している経済活動を活性化させるためのキャンペーンで、自分自身の生活が破綻しかけてしまうのは本末転倒な気がする。

 一度約束した旅行の計画であっても、収入減によるキャンセルなら相手も納得してくれるのではないだろうか。見栄を張りたいというありささんの気持ちも分かるが、その一歩が大きな問題を引き起こす可能性もあることを忘れてはいけない。

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