コロナ禍で収入が減り、家計のやりくりに苦心する家庭も少なくないだろう。なかには、家族が借金をして、しかも返済がままならないケースもあるかもしれない。もしも、借金が返せなくなってしまった時、自己破産を回避して問題を解決することはできるのだろうか? 借金に関する悩みについて、弁護士の竹下正己氏に回答してもらった。
【相談】
夫の借金のことで相談です。夫は銀行のローンが約100万円、クレジットカードのリボ払いが約150万円分あり、毎月の支払いが大変です。にもかかわらず少し前には借金返済のために別のクレジットカードを勝手に作り、お金を借りているようです。
このままでは借金ばかりが増えて生活に支障をきたします。任意整理という方法があるそうですが、どのような方法でしょうか。自己破産せずに解決できる方法があれば教えてください。(東京都、39才・アルバイト)
【回答】
任意整理とは民事再生や破産などの裁判所の制度を利用しないで、返済の分割や借金の切り捨てなどについて、債権者と合意し、文字通り任意で債務を処理するものです。
債権者の数が少なく、金額も大きくない場合に利用されることがあります。ただし、ある程度の時間をかければ返済できる見込みや、現金がなくても不動産などの返済原資のあてがないと、債権者との話はまとまりません。
また、金融機関などでは貸付金の返済期間の延長はあっても、元本の一部を任意整理で免除することはないように思います。支払うめどが立たない場合には、破産申立をして経済的な再出発を検討してよいと思います。
任意整理をするとしても、債務者本人が債権者と交渉するのは大変です。債務の内容や資産・収入がわかる資料をそろえて弁護士会の法律相談を受け、債務整理の方法についても助言を受けるのがよいでしょう。