また、成年後見人制度は不動産や証券など多くの財産を持ち、管理が大変な場合には有効だが、一般的なケースでは不要なことがほとんどだという。
「認知症になる前に親の資産を管理する、もっと手軽な方法があります」と言うのは、介護アドバイザーの横井孝治氏。
「まず検討すべき制度は『日常生活自立支援事業』です。専門の研修を受けた生活支援員による日常的な金銭管理や各種行政サービスの利用、見守りなどの支援を月額数百~3000円程度で受けられます。市区町村の社会福祉協議会で手続きできるので、相談してみるといいでしょう」
認知症になると金融機関の口座が凍結されることがあるが、その対策として「代理人カード」を作成しておきたい。
「これも親が認知症になる前に手続きをしておくと便利です。『認知症に備えて老親の預貯金を管理したい』という場合、本人と生計を同一にする親族が使えるキャッシュカードをもう1枚作ることができます。
金融機関によってカード作成料金は違いますが、概ね1000~2000円程度で、月ごとの利用料はかかりません。本人が認知症になっても効力はそのままなので安心です」(前出・横井氏)
※週刊ポスト2020年11月20日号