だが、その後、何度か注文を繰り返すうちに、あることに気が付いた。Serviは、向かい側に座る妻や娘の手の届く距離まで商品を運んでくるが、記者の傍には近寄ってこない。何度注文しても、1.5メートルほどの“間合い”を取り、立ち止まってしまうのだ。「お父さん、顔が怖いから警戒されているんじゃない?」と娘が言う。確かに、人相がよろしくないことは自覚しているが、最新のAIロボに「危険人物」と見なされてしまったのだろうか……。
ソ社に聞くと、こんな回答が寄せられた。「もしかしたら、ロボットが敬遠するようなオーラを発していらっしゃったのかも……というのは冗談です(笑い)。あくまで推測ですが、お客様の足やお荷物、卓上のメニューなどが通路側に飛び出していたなどの理由で、センサーが障害物と感知し停止した可能性が考えられます」(広報室)
いまのところ、これらのロボットに顔や表情の認識機能は備えられていないというが、「人間と同様の接客が可能になるのも時間の問題」だと、AI技術に詳しいジャーナリスト・河鐘基氏が指摘する。
「すでに顔や感情認識の技術は確立されており、客の注文傾向や感情を読み取っておすすめ商品を提案することも可能になっている。また、臭気認識機能や行動認識技術の応用で、今後は泥酔客やクレーマーへの警告、行動監視、警察や警備会社への通報機能が備わることも考えられます」
既に中国では多くの飲食店でロボットが稼働中。いずれは顔認識と口座番号を紐づけ、財布を出さずに決済可能なサービスが登場すると予想されている。
「ただし、日本では個人情報保護の観点から、個人を特定できるデータの蓄積・利用は難しい。当面は、配膳プラスアルファの機能で現場の従業員をアシストしていくのではないか」(河氏)
最新技術の導入で、外食シーンは大きく変化しようとしている。