新型コロナの感染拡大以降、大都市から地方への移住を考える人も増えているようだ。とはいえ、たとえ移住に興味があったとしても、決断するのはなかなか難しい面もある。今年10月末をもってセミリタイアしたネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、11月1日に東京都渋谷区から佐賀県唐津市に移り住んだ。中川氏によると、現在は1か月間の「お試し移住」の最中で、その間に本格移住に向けた準備を進めているという。「お試し移住」の実態について、同氏がレポートする。
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私は現在、唐津市から委託を受けて移住支援に取り組む「NPO法人NetworkStationまつろ」の協力をいただき、唐津市内で1か月間の「お試し移住」の最中です。今は本格的に唐津への定住をする準備をしています。この「お試し移住」というものを12日間経験したうえで感じたこと、発見したことについて書いてみます。
元々唐津には何の地縁もなかったのですが、佐賀県と縁の深い知り合いが「セミリタイアするんだったら、佐賀県に住みませんか?」とオファーをしてくれました。人生をガラリと変えるのもいいな、と思い、その話に乗ったところ、トントン拍子で話は進み、今に至っています。
私の場合、仕事については「やり切った」という達成感があるので、移住について何の障壁もありませんでした。妻は学生時代から16年ほどライターの仕事を続けており、地方にいても融通は利かせやすい。多少仕事量は減るかもしれないが、リモートでできる範囲はリモートでやり、必要なら1か月に1回ぐらい東京に出張をすればいいか、ということでこのオファーに同意しました。
当然、我々には子供がいないからこそ決断できたことでしょう。子供の転校や進学のことを考えたら東京にい続けた方が良かったかもしれません。また、悠長に「セミリタイア」なんてことは言えません。