「今度の病院は、1家族1人どころか、お見舞いは一切お断りだって。『このまま旅立っちゃうこともあり得るから、覚悟してください』と医者は言うんだよな」と、入院手続きをした弟は言う。母親はときどき意識が戻る。病室でひとり、どんな思いをしているのか。このまま、ひとりで逝かせることになるのかと思うと、いたたまれない。私のような思いをしている人がいま、日本中に、いや、世界中にいるのよね。
末期の親の見舞いくらい自由にさせろ、というのではない。“ウィズコロナ”の時代がいよいよ始まるというなら、大きな網をバサリとかけるだけでなく、人の気持ちに即した対応をしてもらえないか。臨終のとき、別れを伝えるわずかな時間と、小さな病室を作ってくれないか。そのための人件費と経費がかかるなら、喜んで払う家族はいくらでもいると思うわ。
※女性セブン2020年12月3日号