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複雑化するアメリカ社会の分断 データからわかる意外な事実

 世帯収入はどうでしょう。この調査では、年収区分が【1】「5万ドル(約525万円)以下」、【2】「5万~10万ドル未満」、【3】「10万ドル(約1050万円)以上」と分かれていて、【1】と【2】の中間層(あるいはそれ以下)ではバイデン氏支持が過半を占め、【3】の富裕層ではトランプ氏の支持が多くなっています。

 ここから単純にいえることは、バイデン氏に投票した有権者の典型が「女性」「非白人」「若年層」「大卒」で、トランプ氏に投票した典型が「男性」「白人」「中高年層」「非大卒」ということです。世帯収入については、共和党支持の中高年の白人に富裕層が多いことと、バイデン支持者は若者が多いので年収が低く出ることが影響しているのでしょう。

米大統領選挙の投票日、投票所に早朝から並んだ有権者たち(ニューヨーク。時事通信フォト)

出口調査からわかった意外な事実

 この調査から、バイデン氏を勝利に導いた要因がよくわかります。前回までの投票率は60%前後でしたが、今回は65%以上と推計され、米国民の関心の高さがうかがえます。そのなかで「今回が初めての投票」だという有権者の64%がバイデン氏を支持しており、新たな票を呼び込んだといえるでしょう。

 住んでいる場所もかかわってきます。米国では内陸部の地方で共和党、沿岸部を中心とした都市で民主党が強く、その中間にあたる「郊外」の票が選挙を左右するといわれてきました。前回はトランプ氏が郊外票を取り込みましたが、今回はバイデン氏が都市の60%に加え、郊外でも50%と僅差ながらトランプ氏(48%)を上回っています。

 このように有権者の属性をみていくと、さまざまな対立軸で支持が割れていて、選挙後も米国のあちこちで支持者同士の衝突が繰り返されているように、米国社会の分断がかえって深まっていることが浮き彫りになっています。

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