今週の日経平均は、好需給を背景に27000円をにらんだ堅調な展開が見込まれる。NTTドコモ<9437>のTOB(株式公開買い付け)に絡んだ還流資金による買いは、ほぼ一巡したとみられているが、30日から12月7日にかけては約4兆円規模と推定される9月中間期の配当金支払いがピークを迎えて再投資の需要が本格化する。また、12月11日のメジャーSQに向けて積み上がった裁定売り残の反対売買が期待される。
似たような需給関係にあった今年6月上旬の場面では、メジャーSQに向けて日経平均は月初から6日続伸し約1300円上げた経緯がある。このほか、29日から12月1日にかけてはブラックフライデーおよびサイバーマンデーの売上速報が出てくることが予想され、好調な商戦結果が市場のセンチメントを明るくする可能性がある。
一方、テクニカル的には、高値圏で長い上ヒゲを伴う25日の陰線で天井形成感も表れた。しかし、これまでもこうした高値形成を連想させる場面の出現都度、売り方が担がれる展開が続いてきており、明確な売りシグナルが出るまでは強気を維持するところだ。世界的な金融緩和が継続している状況に変化はなく、一時的な相場下振れがあっても下値で買いが入る可能性が高い。12月11日のメジャーSQまではリスクオン相場が期待される。
ただし、新型コロナウイルスの感染拡大規模と感染対策は、引き続き警戒材料として底流に存在する。ワクチン開発についても、プラス面だけでなく副作用などマイナス材料の出現にも要注意だ。このほか、短期的な波乱要素として、30日から12月1日にかけて開催されるOPEC総会を受けての原油市況、発表が多い米経済指標などがあるが、現状において大きな懸念は見込まれていない。
物色的には、値がさハイテク・グロース(成長)株が引き続きリードする展開が予想される。27日にかけて任天堂<7974>は7連騰、日本電産<6594>5連騰、そして村田製作所<6981>は同値引けを1回挟んで11連騰を見せている。ちなみに、この3銘柄とも非日経平均採用だ。このほか、ニトリHD<9843>による島忠<8184>、ファンドによる京阪神ビルディング<8818>やケネディクス<4321>、三井不動産<8801>による東京ドーム<9681>など、M&Aの活発化が投資家の物色意欲を刺激している。10月のマスク・コロナ対策関連に続いて11月はEV(電気自動車)関連が物色テーマとして人気化したが、12月期は環境保全、EC(電子商取引)などに人気テーマがシフトする可能性もある。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、30日に10月鉱工業生産、10月商業動態統計、12月に入り1日に10月失業率・有効求人倍率、7-9月期法人企業統計、11月自動車販売台数、2日に11月マネタリーベース、11月消費動向調査、5日に臨時国会会期末がそれぞれ予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールは、30日に中国11月コンポジットPMI、中国11月製造業PMI・非製造業PMI、米10月中古住宅販売仮契約、米サイバーマンデー、OPEC総会・OPECプラス閣僚会合(12月1日まで)、12月1日に米上院銀行委員会でパウエルFRB(連邦準備理事会)議長とムニューシン米財務長官が議会証言、米11月ISM製造業景況指数、中国11月Caixin製造業PMI、2日に米11月ADP雇用統計、ベージュブック、ユーロ圏10月失業率、3日に米11月ISM非製造業景況指数、4日に米11月雇用統計、米10月貿易収支、米10月製造業受注、APEC首脳会議(オンライン開催)が予定されている。