「年末年始17連休案」を打ち出した背景
私は、この年末年始が第3波を食い止めるラストチャンスだと考えている。10月23日に政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で、年末年始の休暇を17日間に拡大することが議論された。西村経済再生担当大臣が、「17連休というのも一案だ」と発言したと報じられたことにより、一時は17連休になると賛否両論が盛り上がった。しかし、3日後に西村大臣が「要請するのは休暇の分散で、17連休ではない」と火消しにかかって、騒ぎは沈静化した。
では、分科会が年末年始の休暇拡大を打ち出した背景には何があったのか。実は、万が一のときには、外出規制を実施する可能性を見据えていたのではないだろうか。もともと、休みのところに外出規制をかければ、経済への影響を最小限に抑えることができるからだ。
もちろん、年末年始に外出規制をかけることは、大きなリスクを含んでいる。新型コロナで大きな傷を負った観光業者や飲食業者に、さらに致命的な打撃を加えかねない。これらの業種は、「ゴールデンウィーク」と「夏休み」という2つの書き入れ時を失ったことで、経営が深刻な状態に陥っている。そのうえ、現在順調な予約が入っている年末年始の収入が失われたら、それこそ破綻・倒産が続出してしまうだろう。
それを避けようと思ったら、観光業者や飲食業者に大きな補助金を出して支える以外の方法はないのだろう。経済回復のために、このまま第3波の感染拡大を放置するのか。あるいは、補助金などの思い切った財政出動とともに、年末年始に厳しい外出自粛を求めるのか。政府は、日本の命運を左右する重大な選択に直面しているのだ。