みなにより親しまれるように「愛称」をつけるのはアイドルも鉄道も同じ。ここ10年ほどの間に愛称を発表した路線はいくつもある。ところが、せっかく知恵を捻って名前を付け、大々的に発表したのに、ちっとも浸透していないものも……。特に“企画倒れ”だったのは何線なのだろうか? ツイッターのツイート数をもとに、首都圏で導入された愛称の“親しまれ度”を探ってみた。
●都電荒川線→東京さくらトラム
かつては都内をくまなく走っていた都電が1つ、また1つと減り、唯一残された路線・荒川線。荒川区の三ノ輪と新宿区の早稲田を結び、「荒川線」として親しまれてきたが、「これまで以上に皆様に愛され、親しんでいただけるよう、都電や沿線の魅力を国内外に広くアピール」するため、2017年に「東京さくらトラム」という愛称が付けられた。
それから約3年、ツイッターを見ると(以下、回数はすべてツイッター)、「都電荒川線」という単語は1日あたり40~50回登場するのに対し、「東京さくらトラム」「さくらトラム」は10~20回程度。しかも、
「どうしてもさくらトラムと呼べない…」
「何が東京さくらトラムだ、都電だ都電!」
「“東京さくらトラム(都電荒川線)”迷惑だから定着してない愛称をメインにするのやめてください」
など、ネガティブな声が少なくない。
●東武伊勢崎線→東武スカイツリーライン
2012年、東京スカイツリーの開業に伴い、誕生したのがこの愛称。浅草駅(東京都台東区)と伊勢崎駅(群馬県伊勢崎市)を結ぶ東武伊勢崎線のうち、浅草駅~東武動物公園駅(埼玉県宮代町)および、押上駅(東京都墨田区)~曳舟駅(同)を結ぶ区間が「東武スカイツリーライン」となり、「業平橋駅」も「東京スカイツリー駅」に変わった。
それから約8年、「伊勢崎線」という単語は1日あたり50回前後登場するのに対し、「スカイツリーライン」も50回前後と、どっこいどっこい。一見、定着したように見えるが、東武の運行情報を伝える公式ツイッターが「東武スカイツリーライン」という単語を使うため、これをリツイートして使用回数が増える傾向があるため、浸透度は微妙かもしれない。