●東武野田線→東武アーバンパークライン
大宮駅(埼玉県さいたま市)~春日部駅(埼玉県春日部市)~柏駅(千葉県柏市)~船橋駅(千葉県船橋市)と、東京近郊のベッドタウンをぐるりと巡る東武野田線が、「アーバンパークライン」なる愛称を導入したのは2014年のこと。「アーバン(都市)」と「パーク(公園)」をかけ合わせた造語で、〈首都圏郊外の都市を走り、公園も多いので……〉という由来のようだ。
それから約6年、「野田線」という単語が1日あたり70~80回、「東武野田線」が30回前後なのに対し、「東武アーバンパークライン」は20回前後。こちらも公式からのリツイートがあることを考慮すると、浸透度は今ひとつと言わざるを得ない。
●埼玉高速鉄道→埼玉スタジアム線
サッカー日本代表戦や浦和レッズ戦でおなじみの埼玉スタジアムに向かう埼玉高速鉄道。「埼スタ」が、2002年の日韓W杯の会場になったことにより、開業が早まったという歴史を持つ埼玉高速鉄道は、2015年に「埼玉スタジアム線」という愛称を導入した。
それから約5年、「埼玉高速鉄道」という単語は1日あたり50~60回登場するのに対し、「埼玉スタジアム線」は数回程度。ゼロの日もある。5年経ってこれでは厳しいが、今後劇的に状況が変わることはあるのだろうか。
●JR青梅線→東京アドベンチャーライン
今回取り上げる愛称で最新のものがこちら。「駅を降りてすぐに本格的な自然やアウトドアを楽しめる」ということから、2018年9月にこの愛称が決まった。
それから約2年、「青梅線」という単語は100回近く登場するが、「アドベンチャーライン」という単語は10回前後。しかも「アドベンチャーライン」という単語を使うのは鉄道ファンが主で、一般層への浸透は程遠い状況だ。
これらを総合すると、数字的に芳しくないNo.1は圧倒的に「埼玉スタジアム線」。とはいえ、愛称を知っていても使いたくないという声は「東京さくらトラム」に多く、導入からの年数を考えると「スカイツリーライン」や「アーバンパークライン」もまだまだだ。首都圏には「ゆりかもめ」(東京臨海新交通臨海線)や「りんかい線」(東京臨海高速鉄道臨海副都心線)など、愛称が根付いた例もあるが、この2つは呼び名がいずれもコンパクト。「わざわざ名称を長くしたら浸透しない」という法則は、いずれは定説になるかもしれない。