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役員・社員数25人で「おせち15万個」を完売させる博多久松の凄さ

一番人気の「和洋折衷本格料亭おせち『博多』」(4~5人前)。25センチ四方の3段重に46品が入り、1万5800円(送料無料)。久松のおせちは「ずっしり」「たっぷり」「ぎっしり」の三拍子が揃う

一番人気の「和洋折衷本格料亭おせち『博多』」(4~5人前)。25センチ四方の3段重に46品が入り、1万5800円(送料無料)。久松のおせちは「ずっしり」「たっぷり」「ぎっしり」の三拍子が揃う

 商品開発は前年夏頃から始まり、試作を重ねてメニューを固め、新年を迎えると食材の決定、全国各地での食材探し、仕入れなどが本格化する。スタートから客の元に届けるゴールまでなんと1年半を費やす。

 久松は1982年、日本料理専門の料理人である初代社長が高級仕出し店として創業。当時から、料亭やホテルのおせち料理などを手がけてきたが、そのノウハウを活かし、2004年に楽天市場に出店、冷凍おせちのネット販売を開始した。発案した3代目の松田健吾社長が振り返る。

「私が24歳の時、ネット販売に乗り出しました。初年は90個、2年目は2500個、3年目は9500個が完売しました。2006年度に楽天グルメ大賞をいただきましたが、おせちで受賞したのは弊社が初めてでした」

 以降も販売数は右肩上がりに増加し、2013年には10万個台を突破。2017~2019年は15万個を売り切った。

 今年はコロナ禍を背景におせち需要が例年より高まると判断し、過去最多の15万8000個を製造販売する。このうち、主力商品の「博多」は8万5000個を販売するが、送料無料で1万5800円という手頃な値段に驚く。業界でいち早く中国産主原料不使用のおせちを世に出し、試食用おせちを赤字前提の500円で販売するなどユニークな試みも多い。客の要望から少人数おせちを開発するといった柔軟な姿勢も人気の秘密だ。

「お客様の声を反映しながら毎年、料理や工夫をブラッシュアップしています。久松のおせちは新しい年を迎えるたびに進化し続けているのです」(松田社長)

撮影/中西ゆき乃 取材・文/上田千春

※週刊ポスト2020年12月18日号

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