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JR東日本・深澤祐二社長「駅は切符を売る場所ではない」の真意

JR駅構内のシェアオフィス

JR駅構内のシェアオフィス

──具体的には?

深澤:昨年から新宿駅や東京駅など、都心部を中心にシェアオフィスを30か所作ってきましたが、今後は郊外にも広げていく。まず1年以内に100か所を目指しています。

 テレワーク需要の高まりのなか、シェアオフィスは今後、確実にニーズが増えていくでしょう。在宅勤務が一般的になりましたが、自宅では十分なスペースが確保できない方も多い。しかし都心のオフィスに毎日出社するのは無駄が多い。自宅の最寄り駅近くにシェアオフィスができればきっと有効活用していただけるはずです。

 社内でよく言っているのは、「これまでは駅は切符を売る場所だったが、今後はビジネスをどう作っていくかがカギになる」ということです。

 これまで駅は自然に人が集まって来る場所でしたが、今後はそうはいかないでしょう。たとえ電車に乗る予定がなくても「行きたい」と思える空間をいかに作っていくかが大事です。

 今年9月に開業した有楽町駅と新橋駅間の高架下の商業施設「日比谷OKUROJI」はその取り組みのひとつです。3月に開業した高輪ゲートウェイ駅周辺でも、これから4年かけて魅力的な街づくりを行なっていきます。

──電子マネー「Suica」もここ数年で使える範囲が広がってきた。

深澤:Suicaは約8450万枚を発行していて、首都圏では9割以上のお客様にご利用いただいています。ですが、街中のコンビニやドラッグストア、スーパーなどでの使用にはまだ伸びしろがある。「モバイルSuica」の普及も含め、もっと広範囲で使えるようにしていきたい。

【プロフィール】
深澤祐二(ふかさわ・ゆうじ)/1954年、北海道生まれ。東京大学法学部卒業後、1978年に日本国有鉄道に入社。1987年、東日本旅客鉄道(JR東日本)発足後、2006年取締役人事部長、JR東日本総合研修センター所長を経て、2008年常務取締役。2012年に代表取締役副社長、2018年4月より現職。

【聞き手】
河野圭祐(かわの・けいすけ)/1963年、静岡県生まれ。ジャーナリスト。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。

撮影/山崎力夫

※週刊ポスト2020年12月18日号

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