コロナ禍が覆い尽くした2020年。この一年で仕事形態をはじめ、価値観や生活様式までガラリと変わった。さまざまな常識が覆される中、マナーもこれまで通りとはいかない。
現代礼法研究所代表の岩下宣子さんは、「これまでのマナーは“人と会うこと”を前提としたものでした。ところがいまは人と気軽に会えません。それを踏まえて、相手を思いやることが大切です」と語る。そして、年末年始にけるマナーも変化しているのだ。
コロナ禍における最も大切なマナーは?
「マナーを語るうえで最も大切なのは、“あなたを思っています”という思いやりの気持ちを表すことです。これだけは、コロナ禍で価値観が変わりつつあるこれからも、同様です」(岩下さん・以下同)
では、年始のあいさつをする場合、【A】いつでも送れてなじみ深い電話やメール、手紙、【B】顔を見せられるオンラインビデオ通話、どちらの方法がより気持ちが伝わるだろうか。
「コロナ禍のいまはBがおすすめですね。人に会えず、会ってもマスク着用が当たり前なので、マスクなしの顔を見せ、笑い合える状況をつくることが大切です」
また、コロナ禍だからこそ、最も配慮しなければいけないことがあるという。それは、「コロナに対する危機意識の違い」だ。ある人は、マスクと手洗いさえしていれば大丈夫だと思っているが、都心部から来た人間が近くにいるだけで恐怖を感じる人もいる。
「相手の危機意識がどの程度かを事前に電話などで話して把握し、相手に合わせることが大切です。互いに寛大になり、自分の尺度を押しつけないことこそ、コロナ禍における最も大切なマナーです」
取材・文/前川亜紀 イラスト/ico.
※女性セブン2021年1月1日号