“みなさまのNHK”に国民から厳しい視線が向けられている。巨額の受信料収入がありながら、それでもなお徴収強化に乗り出す姿勢に疑問の声が相次いでいる。だからこそ、内閣官房参与の高橋洋一氏が本誌・週刊ポストでブチ上げた大胆な改革案に大反響が寄せられた。この国の公共放送はどこへ向かうべきなのか――改めて問題提起する。
「NHKは『Eテレ売却』で受信料を半額にできる!」(週刊ポスト12月11日号)
この記事で内閣官房参与の高橋洋一・嘉悦大学教授が提起した「Eテレ(教育テレビ)売却案」が大論争になっている。NHKトップの前田晃伸会長は12月3日の会見で真っ向から否定した。
「Eテレは、NHKらしさの1つの象徴だと思います。それを資産売却すればよいとか、そういう話には全くならないと思います」
SNSの反響も大きい。元NHKアナウンサーのジャーナリスト・堀潤氏は、「最も公共放送らしいEテレ売却なんて馬鹿げてる」とツイートし、子育て世代を中心に〈#Eテレのために受信料払ってる〉というハッシュタグをつけたEテレ売却反対論が起きた。一方で〈Eテレ売却賛成〉〈NHKの受信料見直しを求めます〉というツイートも広がり賛否両論が起こっている。
新聞・テレビの大手メディアも菅義偉首相のブレーンである高橋氏が一石を投じたEテレ売却を巡る議論に重大な関心を持っている。
朝日新聞デジタルは〈「EテレはNHKらしさの象徴」 売却論に会長が反論〉という見出しでこう報じた。
〈Eテレ売却などの改革案を語った高橋教授のインタビューは誌面だけでなく週刊ポストのネットニュースでも流れて拡散されていた。これに対し、SNS上では「Eテレが最も公共放送として能力を発揮している」「子育てで何度も助けられたから(売却論は)信じられない」などとの声が相次いでいる〉
反対論に肩入れする論調だ。そこで本誌は改めて高橋氏に取材し、前田会長への再反論を聞いた。
「いかにもNHKらしい論理のすり替えだと思います。前田会長が『NHKらしさの象徴』というのはEテレの番組コンテンツを指しているのでしょう。
しかし私がNHK改革として売却を提案したのは『Eテレの周波数帯』であり番組ではない。Eテレで放映している番組をネット配信すれば、より多くの番組を配信できるから視聴者にもメリットがあるという指摘です。前田会長らEテレ売却反対論者は私が周波数帯の売却を提案していることをわかっているのに、あたかも教育番組をなくすかのように論点をすり替えているのではないか。これに騙されて反対に同調する人が多いのだと思う」