こうした対応が取れる環境になく、あるいはAくんの親が以前から冷静な話ができず、一方的に罵倒や侮辱メールを送ってくるような親であれば、対応するのは精神的にも苦痛であると思います。一刻も早く学年主任や教頭、校長などの管理者に事情を説明した上での支援を求めることをお勧めします。
保護者だからといって、教師の人格を傷つけるような侮辱的発言をしたり、大声や暴言で威嚇することは許されないことです。程度がひどければ、刑事的には名誉毀損や侮辱、感情に任せての暴行に当たる場合もありますし、民事的には不法行為になります。
その結果、教師の心身が不調になり、授業にも支障が生じる可能性がある場合には、弁護士や警察に相談し、これ以上の暴走を止めるための学校外の力を借りなくてはならない場合もあると思います。とにかくひとりで抱え込まず、学校の管理者に相談すべきです。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2020年12月25日号