NHKが12月11日から3日間かけて行った世論調査によると、2021年に延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催について「開催すべき」27%、「中止すべき」32%、「さらに延期すべき」31%という結果になり、「中止すべき」が「開催すべき」を上回った。1年延期された「東京オリンピック・パラリンピック2020」はどうあるべきなのか、経営コンサルタントの大前研一氏が提言する。
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東京五輪・パラリンピックについては、残念ながら、ほぼ開催できないと思う。80年前(1940年)の東京五輪も第二次世界大戦の勃発によって中止になったが、これも歴史のアナロジーだ。
開催の可否判断は「来春」が最終期限と言われているが、世界の新型コロナ禍がそれまでに終息するとは考えにくいので、現実的には今年末に判断すべきだと思う。
IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長は、新型コロナのワクチンが開発されたら、選手たちの接種費用はIOCが負担すると表明した。しかし、その金額は五輪全体の予算からすれば“誤差”の範囲だ。
これまでに日本が費やした税金は「サンクコスト(埋没費用)」であり、無観客もしくは人数制限で開催した場合、どう転んでも収支はマイナスになるのだから、さっさと中止を決断するのが賢明であろう。
【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊は『日本の論点2021~22』(プレジデント社)。ほかに小学館新書『新・仕事力 「テレワーク時代」に差がつく働き方』等、著書多数。
※週刊ポスト2021年1月1・8日号