コロナ禍により自宅で過ごす時間が増え、その結果「家族の絆」を改めて感じた人も多いはず。だからこそ、高齢の親の介護が必要になった時のこと、相続や葬儀、お墓のことなど、事前に話し合っておきたい。
そもそも親は自分の「終活」を子にはっきりは見せたがらないものだ。それでも、実家に帰った時や、電話口で、「この引き出しに生命保険の証書が入っているから」「家の権利証は金庫じゃなく仏壇にあるよ」――といった会話から子は親の終活の様子を察知できる。葬儀相談員で市川愛事務所代表を務める市川愛氏が語る。
「終活への考えを聞く時、“お父さんの墓なんだけど”と、名指しで想定すると当事者は“俺はまだ死なない”と反感を買いかねません。友人が葬儀や墓で苦労したことを引き合いにして、“我が家の方針を話し合っておきたい”と提案するのがよいでしょう」
何からどう考えたらいいかがわかりにくい終活で、便利なツールとなっているのがエンディングノートだ。内容を知られたがらないケースが多いが、こと金銭面については、親も子に知っておいてほしいもの。
生命保険の保障内容から保有する株や債券、金銭信託などは、保険会社や証券会社の支店や担当者の名前まで家族会議で情報共有しておきたい。
親子で認識を共有したいことが葬儀とお墓だ。
「葬儀の規模をどうするかを知るために、誰に参列してほしいか親の希望を把握しておきましょう。親の親しい友人などは子にはなかなかわからない。家族で、『入院など何かあれば連絡してほしいリスト』をつくって共有しましょう。今は近親者だけで見送る家族葬が7割を占めていますが、家族葬でも告別式には友人に来てもらうケースは多い。
最近では、子に迷惑をかけたくないと火葬だけで済ませる安価な直葬を希望する親も多いが、ゆっくりお別れするタイミングがないため、後で悔やむ家族も多いので注意しましょう」(市川氏)