「不動産の売却では売却益に約20%の税金が課されます。しかし、相続から3年10か月以内に売却すると、『取得費加算の特例』を使うことで、支払った相続税の分だけ課税価格を下げることができる。つまり親から相続しているものに気づくのが早ければ早いほどいいのです」
妻の死後、夫が知らない妻の財産に振り回されないためには、親子と同様に夫婦間で共有するための「財産目録」をつくっておくことが重要だ。そこには、連れ合いに知られたくないタンス預金など“ヘソクリ”の在処はもちろん、借金がある場合にも漏らさず書いておく必要がある。大事なことは、財産がどこに、どれだけあるかを共有することで、知られたくない中身については、どちらかの死後に確認すれば十分だ。
先祖代々の墓がある場合は、妻の希望を聞いておき、夫婦の墓をつくるかどうかを話し合っておくことも大事だ。
「私は次男で、実家の先祖代々の墓は兄が継承しています。まさかこんなに早く妻がいなくなると思わず、自分たち夫婦の墓を用意していませんでした。実家の墓は遠方なので、そこに遺骨を納めてもなかなか墓参りはできないので困っています」(都内在住60代男性)
この男性は、近所にある霊園なら頻繁に墓参りできると思い探したというが、区画に空きがなく断念したという。
妻に先立たれた場合に備えて聞いておくべき資産の在処8
【1】妻の通帳・届出印
【2】妻の株取引報告書
【3】妻の年金手帳
【4】妻の健康保険証
【5】親から相続したもの
【6】タンス預金
【7】借金
【8】夫婦の墓
※週刊ポスト2021年1月1・8日号