Bさん曰く、これらの言葉は全て男性から浴びせられたもので、「変わっているヤツ」「運転もできないのか」という偏見の目で見られることも多かったという。Bさんは「運転技術は男のステータス」というような価値観が根底にあるのではないかと分析する。
「『男でATはダサい』にも通じると思いますが、小学生男子は足が速い方がモテるみたいな考え方はやめてほしい。なぜ免許を取得せず運転しない自由が認められないのか。『そういう人もいるんだ』と放っておいてほしい。特におじさん世代は厄介。車と女性が紐づいた思い出話をされて、免許を取るように諭されることもありました」(Bさん)
一方で女性からも否定的な言葉を浴びた人もいる。人材派遣会社に勤務する30代の男性・Cさんだ。「男で運転できない人っているの?」「男のくせに免許を持っていななんて使えない」「デートどうするの?」「仕事もできなさそう」など、散々な言われようだ。
「正直、傷つきました。免許を持っていない女性にも言われましたからね。自分は“劣っている存在”なのか、と落ち込んだこともありました」(Cさん)
実は免許を取得するために、教習所に通った過去を持つCさん。「何となくみんなが取っているから自分も」という認識だったが、よく考えれば差し迫って免許が必要なことはなく、運転も好きになれなかったことから、取得を見送ったそうだ。大好きなお酒を飲めることもあり、電車移動の方が性に合っているという。
「僕の主義なのでとやかく言わないほしい。『男のくせに』という文言はスルーするとしても、免許を取らないことを、仕事や人格に結び付けることは言い過ぎです」(Cさん)
免許を持っていないというだけで、怪訝な顔をされたり、嫌なことを言われたりする「免許ハラスメント」というものがあるが、そこに「男なら……」という視点が加わることで、より一層、憤りを感じている男性たちもいるようだ。