コロナ禍で迎える初の年末年始を前に、帰省の取り止めや大勢での忘年会・新年会の自粛が話題になっている。今年は一人、あるいは少人数の家族単位で、自宅で静かにこの時期を過ごすケースが増えそうだ。フリーライターの吉田みく氏は、夫と死別し一人で暮らす60代女性の日常に起きたトラブル事例を聞いた。コロナ禍の暗い影は地域のシニア社会にも差しているようだ。
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「まさかこの年になって陰湿な嫌がらせをされるとは思いませんでした……」。都内在住の無職、安田真由美さん(仮名・69歳)は、定期利用するフィットネスクラブでの人間関係に悩んでいるという。数年前に夫とは死別、現在はマンションで一人暮らしをしている。
地域の高齢者たちの憩いの場としての一面もあるフィットネスクラブ。最近では施設内にある大浴場のみを利用する会員も多いという。背景には、一人暮らしの高齢者たちのリスク管理があるようだ。万が一風呂場で滑って転倒などした場合、自宅では誰も助けてくれないが、フィットネスクラブなら周囲に人がいるので安心できる。そのため、夜間にフィットネスクラブを訪れる高齢者も多いという。
大浴場のほかにも、フィットネスクラブには健康維持に適した運動器具やレッスンも豊富に用意されている。人生100年時代、健康を保ち自立した生活を送るために、運動習慣を身につけようと利用するシニア層は今後も増えていくだろう。
「毎日のようにフィットネスクラブへ行っていましたが、最近はコロナのこともあるので長居することを控えています。また、今まではフルタイム会員でしたが、これを機会に月会費の安いデイタイム会員に切り替えたんです。これから先何があるか分からないので、お金はできるだけ節約したいですね」(安田さん、以下同)
一時期はフィットネスクラブへ通うこと自体をやめようと思ったが、人との繋がりが無くなってしまうことに不安を感じたという。安田さんの通うフィットネスクラブのデイタイム会員の場合、17時までの利用という時間制限があるが、日・祝日以外は利用でき、会費は月3000円ほどの節約に繋がる。そんな安田さんの身に、何が起きたというのか。