コロナ禍のため、新年会などの定例行事を自粛する会社も多いが、なかには“強制参加”という会社もあるだろう。こうした社内行事の参加は社員の義務なのだろうか。もし出席を拒否した場合は、職務命令違反に振れる可能性はあるのか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
私の会社は旧態依然そのもので、コロナ禍なのに新年会などが強制参加です。一応、各部署4人以下で行ない(人数が少ない分、飲み会の回数を増やすそうです)、マスク会食なのですが、今の状況下において出席したくありません。それでも社員に強制参加を義務付ける会社は、法的に間違っていませんか。
【回答】
新年会・懇親会は、従業員の親睦を深めるために行なわれるのが普通で、会社が費用を援助する場合、一種の福利厚生といえます。
しかし、仮にそうだとしても、新年会等への参加は業務ではありません。たとえ強制参加と謳っていても、厳密には任意参加ではないかと思います。この場合、出席を断わって協調性に乏しいなどのマイナス評価を受けることを覚悟すれば、不参加は自由のはず。
出席しないことを理由に、職場で仲間外れなどをしたり、上司が仕事をさせなかったり、あるいは過重な業務を押し付け、あなたを困らせると職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超え、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為として、パワハラになります。