もし、会社がすべての経費を負担し、就業時間内、または就業時間外であれば、時間外手当も支給して職務命令で新年会等の参加を命じる場合には、拒否すると職務命令違反となります。もっとも、その場合でも、職務命令で飲食を強制できません。飲めない人は就業時間、もしくは残業時間中、我慢して新年会等に同席せざるを得ませんが、そこまで強制する会社は多くないでしょう。
仮に新年会等への出席を命じる職務命令が毎年あったとしても、コロナ禍の今年は例外です。飲食中の会話は感染リスクを高めます。飲食を伴う新年会等に参加することを職務命令として命じることは妥当ではなく、参加の強制はできないと思います。
そこで感染を恐れ参加を断わった場合でも、会社が職務命令違反を理由に懲戒等を行なえば、懲戒権濫用になると思います。ただ、欠席もカドが立ちます。リモート新年会などを提案、感染防止策を講じた方法で催すよう会社に要請した上、協議してはいかがですか。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2021年1月29日号