コロナ禍で「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」の加入者が急増中だ。金融庁のまとめでは、2020年9月末時点で274万口座を突破。6月末から12.3%増となっている。感染拡大に歯止めがかからず、厳しい状況が続いているなか、なぜこんなにも人気を集めているのか。ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんが話す。
「いまは新型コロナの影響で、誰もが、いつ、どんな理由でお金に困るかわからない時代です。こうした危機感から、積極的に投資したいというよりは、“自分なりに、資産をつくるために何かしなければ”と、改めて問題意識を持つようになった人が増えている。いまは問題なく生活できている人も、少しでも余裕のあるうちに将来に向けて資産を運用しようという思考が背景にあるのです」
2020年5月以降、特別定額給付金として一律10万円が給付されたが、とても消費に回すどころではない。飲食店の時短営業などでお金を使う機会も失われている。その結果、貯蓄を増やすだけでなく、投資に回そうという人が増えているというわけだ。
つみたてNISAは、最長20年間という長期の資産形成を前提として、毎月一定額を対象となる金融商品(投資信託)に積み立てていくもの。現在、国内で買える投資信託は全部で約6000本もあるが、つみたてNISAの対象となる商品は、金融庁が厳選した193本(2020年12月23日時点)に絞り込まれているため、比較的安心感が高い。
商品によっては月100円単位から積み立てられる。投資上限は毎年40万円までなので、積み立てる金額は12か月で分割すれば1か月あたり最大約3万3000円となる。
「最大のメリットは、運用益に税金がかからないこと。銀行預金や一般的な株式投資と違って、利益をそのまま受け取れます。また、いつでも引き出せるのも魅力です。20年間の運用期間で得た利益分が非課税になるので、あくまで長期投資を目的にした方がいいでしょう」(山中さん・以下同)