新型コロナウイルスの影響で収入が減った中小事業者を支援する政府の「持続化給付金」で、新年早々大型詐欺が発覚した。1月19日、警視庁組織犯罪対策2課は、職業不詳の男性2人を詐欺容疑で逮捕した。
「両容疑者は、フィリピン人の元ホステスに指示して、持続化給付金の申請書にニセの減収額を記入させた。この手口で中小企業庁から騙し取った給付金は計1億3000万円に上るとみられる。両容疑者は飲み友達で、全国各地のフィリピン人ホステスに同様の不正受給を持ちかけたようだ」(全国紙社会部記者)
当初から持続化給付金は「簡単に100万円ゲット」「サラリーマンでも受け取れる」とSNS上で不正受給の容易さが囁かれていた。昨年12月には、不正が疑われる申請が少なくとも約6000件あり、不正受給された疑いのある事例の総額が少なくとも約30億円に達すると報じられた。
「不正受給が横行するのは当たり前です」
そう語るのは、元国税調査官で税務コンサルタントの大村大次郎氏だ。
「最大の問題は、持続化給付金のシステムがいい加減なことです。そもそもこの事業は経産省主導で行なわれ、事業を受託した『サービスデザイン推進協議会』が97%を電通に再委託し、そこからさらにパソナなどに外注されていた。そうした事業者に不正受給を見抜く能力がないのは当然です。本来なら国税庁などが業務を請け負うべきでしたが、経産省の縄張り意識が他省庁の関与を嫌ったことも、事業が“ザル”になった大きな要因です」(大村氏)
自治体独自の給付でも不正受給は相次いでいる。
コロナで打撃を受けた中小企業などを支援する京都府の「事業再出発支援補助金」「応援補助金」は、体温計や消毒液の購入費、3密回避のための改装費などを補助する事業で、小規模事業者や個人事業者は領収書やレシートを提出して補助金を申請する。