ところがこの必要書類の大量改竄が発覚した。京都府商工労働観光部中小企業総合支援課の担当者が語る。
「領収書はコピー可なので、但し書きなどを書き足して改竄するケースが多発しました。ある申請者は、祇園のキャバクラの領収書の但し書きに『消毒液』と書き足して申請していました。複数の企業を経営している人が同じ領収書を使い回したり、お菓子やジュースの購入履歴が印字されたレシートで申請するケースもありました」
他にも領収書の金額を水増ししたり、化粧品や食料を購入したのちに明細をアルコールやマスクなどに書き換えるなどの事案が続出した。前出の府の担当者が苦渋の表情でつぶやく。
「4万件の申請があり、かつ迅速な支給が望まれているので厳格なチェックが難しい。不審な点を指摘しても申請を取り下げず、騒ぎ出す人もいます。見過ごすわけにはいかないので入念に確認しますが、役所ではなかなか犯罪とは証明できません。本当に困っている事業者に早く支給したいので、適切な申請をしてほしいのですが……」
正直者がバカを見る。コロナ禍発生から1年が過ぎても、場当たり的で実態を見ない政策によって、国民の分断とモラル崩壊の連鎖が止まらない。
※週刊ポスト2021年2月5日号