厄介なのは(5)です。具体的な返済の予定が説明され、相手を信頼できるならば猶予も不合理ではありませんが、情に訴えられると悩むのが普通です。特にきょうだいなど親族間ではそうした要素が大きいと思います。扶養義務のある兄弟姉妹間には生活に困窮したときには助け合う義務もあり、その義務として支援したお金の返済を求めることはできませんが、ペットの手術代は扶養義務とは無関係です。
お姉さんに貸金の返済を求めると、(1)から(5)のどの対応をとるのでしょうか。3年経てば30万円の借金を忘れてしまうという気楽な性格でないとすれば、何かの理由があると思います。
あなたが過去に世話になったことがあれば、お姉さんはその恩返しでもらっても当然という考えかもしれませんし、あながち無視できないことです。黙っていてはあなたもストレスがたまるでしょう。なぜ返さないか尋ねてはいかがですか。
きょうだいは他人の始まりになるのか、血は水よりも濃いのか……選択するのはあなたです。きょうだい間といえどもお金のやり取りは重要です。貸借なら、お金を貸す前にはっきり返済条件を取り決めておくべきです。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2021年2月11日号