投資情報会社・フィスコが2月1日~2月5日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。米雇用統計など経済指標が低調な内容だった場合、米国の景気回復に不透明感が広がりそうだ。株式市場で調整売りが強まるなか、安全逃避的なドル買いがただちに縮小する可能性は低いとみられる。米連邦準備制度理事会(FRB)は1月26-27日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)での討議を踏まえ、現行の金融政策維持を決定した。一部が期待していた資産買入れの規模縮小については見送られ、緩和的な政策の長期化方針が示された。
FOMC声明やパウエル議長の記者会見で成長と雇用に関し回復の遅れについて強い懸念が示され、今後は経済指標や企業業績などがクローズアップされる見通し。特に、2月5日発表の1月雇用統計の注目度が高まり、前回よりも悪化すれば先行きへの警戒感が広がりそうだ。先行指標となる1月ISM製造業景況指数の雇用指数やADP雇用統計も合わせて材料視される。
ただ、欧州中央銀行(ECB)当局者からユーロ高けん制発言が相次ぎ、ユーロには下押し圧力がかかりやすいだろう。また、イタリアやオランダなどの政局リスクは根強いこともユーロ売り材料となり、ユーロ安・ドル高が続いた場合、ドル安・円高の進行を抑制しそうだ。
【米・1月ISM製造業景況指数】(2月1日発表予定)
2月1日発表予定の米1月ISM製造業景況指数は60.0と、12月の60.7をやや下回る見通し。コロナまん延で制限措置の強化による影響が示されるが、市場予想とおおむね一致すれば、米国株安・ドル買いは限定的となりそうだ。
【米・1月雇用統計】(2月5日発表予定)
2月5日発表予定の1月雇用統計は失業率6.7%(12月は6.7%)、非農業部門雇用者数は前月比+5.0万人(同-14.0万人)、平均時給は前年比+5.1%(同+5.1%)の見通し。雇用者数は12月に減少した反動で小幅な増加となる見込み。