年金の額についても、もう一度おさらいしておくといいだろう。
「夫婦2人で月額いくらと知っていても、配偶者に先立たれたらどうなるのかを把握していない人は多い。ひとりになったときには年金収入が生活費を下回ってしまう場合もあるからです。また、妻が夫より年下の場合に支給額が増える加給年金の制度や、月額が少なくなる代わりに早く受け取れる『繰上げ受給』や、受給開始を遅くする代わりに月額を大きくする『繰下げ受給』もある。
たとえば平均寿命を考慮して、生活費に問題がなければ夫の年金は65才から受け取り、妻のそれは繰下げるなどして備える人もいます。このように公的年金は受け取り方によって金額が変わったりするので早めに戦略を練った方がいい。会社によっては退職一時金のほかに企業年金があるところもあり、定年後のお金の流れの把握は重要です」(山中さん)
資産や暮らしの設計は、切り出すのがはばかられるなら、思い切って専門家に託すのも選択肢の1つだ。
「退職金など大きなお金をどうするか迷ったら一度、利害関係のない専門家の話を聞いてみた方がいい。夫婦でファイナンシャルプランナーという第三者を挟みながら希望や不安を話す場としても利用すれば、感情的にけんかにもなりにくいうえ専門家の視点でのアドバイスも入るので、老後という大きな節目を迎える前に一度相談するのもおすすめです」(山中さん)
金融機関などでも相談は受けているが、利害関係が働いて意図せぬ金融商品をすすめられることもある。ファイナンシャルプランナーの相談はもちろん有料だが、結果として幅広くお得な制度などを教えてもらえる場合も少なくないという。
※女性セブン2021年2月18・25日号