自宅での生活時間が増え、家の中で快適に過ごしたいという人たちに支持され、ホームセンター業界の販売額が前年比で10%以上の増加を見せているという。
全国展開するホームセンター大手のカインズも、さまざまなニーズをとらえ商品展開や工夫を行っている。昨年11月にオープンした朝霞店(埼玉)は、デジタル技術を駆使した工夫が盛りだくさんの最新店舗だ。
業界初の案内ロボットは、タッチパネルで希望する商品を検索すると、売り場まで先導して案内してくれる(現在は園芸用品売り場で実証実験中)。入口付近に置かれている大きなデジタルサイネージ(電子看板)は、お目当ての商品の陳列棚までのルートを表示してくれて、広い店内でも迷わずに商品を見つけることができる。
そんなデジタル化を積極的に進めるカインズは、全国に225店舗(2021年2月末)を展開、売上高は4410億円(2020年2月末)と業界トップを誇る。競争が激しい業界で、なぜ、こんなにも強いのか。カインズの最前線は各店舗の売り場。そこで何よりも目を引くのが、カインズでしか手に入らないオリジナル商品の豊富さと、商品陳列の工夫だ。
「メンバーと呼ばれる店舗スタッフが毎朝売り場を回り、商品を使った生活のイメージが湧くような陳列を心がけ、常にお客さまが気持ちよく買い物できるよう売り場づくりをしています。そしてメンバーの声を集めて生活に根ざした商品開発を進める仕組みもあり、それがカインズにしかない商品につながっています」(広報部・猪股万莉子さん)
売り場面積9167平方メートルもの大空間に約8万点の商品が並ぶ朝霞店では、誰でも真っすぐに切れるアルミホイル専用ケースを試したり、室内干し用のランドリーラックをコンパクトにたたんでみたりと、来店客は商品の特徴を実体験できる。オンラインショップも充実している。が、あらゆる日用品が揃い、「こんなのあるんだ」と思いながらついつい回遊してしまう実店舗の魅力こそが、業界の雄を支えている。