PIO-NET(パイオネット。全国消費生活情報ネットワークシステム)によると、コロナ禍でネット通販トラブルが急増しているという。国民生活センター相談情報部の森澤槙子さんが説明する。
「2020年5月には、全国の消費生活センターへのネット通販にまつわる相談件数が、2万6000件を超えました。これは相談件数全体の32.7%で、初めて3割以上を占めました。4~6月の相談件数を見ても、前年比で約1.6倍です」
「多かったのは健康食品や化粧品、飲料の『お試し定期購入』に関する相談。次いで洋服、かばん、運動靴、家具類などの『身の回り品』。商品が届かない、偽ブランドや模倣品・粗悪品だった、返品できない、など内容はさまざまです」(森澤さん)
特に急増しているのが「お試し定期購入」で、5年前に比べて2020年には約14倍増だ。消費者庁取引対策課の武田雅弘さんは警鐘を鳴らす。
「定期購入という購入方法は以前から存在していて、悪いものばかりではありません。ですが、“お試し”という謳い文句を使うサイトの中に、定期購入であることを意図的にわかりにくくしている悪質なサイトが増えている点は、要注意です」
そのほか、ECサイト、フリマアプリ、銀行、クレジットカード、キャッシング、宅配便、さらに公的機関(たとえば総務省の新型コロナウイルス特別定額給付金の申し込みサイト)を装ったフィッシングサイトやフィッシングメールも日々大量発生している。
フィッシング対策協議会事務局の平塚伸代さんは、「2021年1月のフィッシング報告件数は4万3972件。ひと月前に比べてすでに1万1801件も増加しています。フィッシングに悪用された67ブランドのうち、20件はクレジットや信販系、8件は金融機関系で、クレジットカードを騙るフィッシングの報告が増えています」と現状を説明する。
こうした悪質サイトは日々、巧みに変貌している。ワナにかからないために、ネット通販を利用する際は十分注意しよう。
※女性セブン2021年3月4日号