投資

定額の積立投資、下落局面がお金を増やすチャンスに変わるカラクリ

 これはあくまで一例だが、積立投資を長期で続ければ、毎日、毎月の株価の上げ下げを気にしないで済む。つまり、株価を気にせず、ほったらかしでお金を増やすことが可能なのだ。

「多額を投じて一括投資していると、株価の上下に一喜一憂して翻弄され、株価が下がると買う、上がれば売る、という基本に従うのも難しくなります。しかし、少額でコツコツと積み立てを続けることで、心理的な揺さぶりの影響を受けにくくなる。

 ただし、リターンを大きくしたいからといって、毎月の金額を無理して大きくしてしまえば続けるのが苦しくなりますし、株価が下がったときの心理的ダメージも大きい。“これくらいなら”と思えるような少額で、長期の運用を続けるのが“必勝法”です」(ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さん)

 スマホ投資なら少額から自動で積み立てできる仕組みが多く、「長期分散投資」に打ってつけだ。積立投資に適した手法としては「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」もあるが、山口さんは、スマホ投資とつみたてNISAを使い分けるべきだと語る。

「つみたてNISAは金融庁指定の200本弱の投資信託などの中からしか選べないので、必ずしも自分が買いたいものがあるとは限りません。また、上限が年間40万円までなので、それより多い金額を投資したい、あるいは早く手軽に始めてみたい場合はスマホ投資が向いています」(山口さん)

 初心者が資産運用で成功するための鉄則は、“毎月少しずつ、いろいろな商品に分散して、長く積み立てること”。少なくとも、10年は続ける見込みで始めるといいだろう。そして、70代を過ぎたら、元気なうちに少しずつ売っていき、生活費や老後の楽しみのために使うのがいい。

「女性の健康寿命は75才。仮に65才から75才まで、10年かけてりんご(投資信託)を360個ためたとすると、毎月1個(口)ずつ売れば、105才になるまで30年間はなくなりません。ただ注意したいのは、お金が増えたとき。1万円しかないときに株価が3割下がっても損失は3000円ですが、1000万円なら損失は300万円です。75才以降は、できるだけ値動きの少ないものの割合を増やした方がいいでしょう」(山口さん)

 売る「出口」は、いつでも自分の好きなタイミングでいい。しかし、スマホ投資という手軽な「入り口」に飛び込むのは一日も早い方がいいかもしれない。

※女性セブン2021年3月4日号

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