複数人でお金を出し合って宝くじを買う「共同購入」。一人ひとりの出資額が少なく済み、たくさん買うことで当選する確率も上がるため、友人や家族などの仲間内で実践する人も多いだろう。しかし、購入代金のやり取りを曖昧にしてしまったことで、当せん後にトラブルに発展するケースもある。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
宝くじで10万円当たりました。最初は、私と義母でお金を出し合って宝くじを購入するという話でしたが、実際には私が購入代金を立て替え、義母はお金を払ってくれませんでした。しかし、当せんがわかったとたん、「一緒に買ったのだから5万円ずつ分けて」と言い出しました。当せんがわかるまでお金を払う気もなかったのに、納得できません。法律的には分けないといけないのでしょうか。(山口県・39才・主婦)
【回答】
あなたはお義母さんと、お金を出し合って共同で宝くじを買い、当せんしたときには分配することを約束したことになります。このように出資し合って、共同の事業を行い、目的が達成するなどの一定の事由が生じたら解散する契約を、民法では「組合契約」といいます。あなたのように、宝くじを共同購入して、当せんすれば分配、外れればそれでおしまいにするというのも一種の事業で、この民法上の組合契約をお義母さんとしたことになります。
組合契約をすると、組合員は、契約当事者で結成した組合に対して約定に従った出資をする義務があります。特に分担の取り決めがなければ、お義母さんは購入代金の半分を負担しなければなりません。
今回の場合、組合に対するお義母さんの支払い義務は、あなたが立て替えることによって実行され、宝くじを無事購入できたわけです。その代わり、あなたはお義母さんに立替金の返済を請求できます。