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日本に輸入されている外国産家畜に投与される成長促進剤や抗生物質の危険性

台湾では昨年11月に米国産豚肉は“毒”だとして、輸入再開に抗議するデモが行われた(Getty Images)

台湾では昨年11月に米国産豚肉は“毒”だとして、輸入再開に抗議するデモが行われた(Getty Images)

 昨年11月、台湾では輸入を禁止していたアメリカ産豚肉の規制緩和が発表されると、撤回を求めておよそ5万人の大規模なデモが行われた。

 ラクトパミンは、たびたび食品問題で世界を騒がせるロシアや中国でさえ避ける危険な薬品。それなのに、われわれ日本人だけが、その薬品の入った肉を知らずに食べさせられている。

 それだけではない。飼育中の病気の予防のために家畜に投与される抗生物質の危険性も、多くの日本人は知らない。東京大学大学院農学生命科学研究科教授の鈴木宣弘さんが話す。

「抗生物質が残留した肉を人間が大量に食べると、肝機能障害を起こすリスクが指摘されています。また、細菌を殺す抗生物質を投与し続けると、薬に強い耐性菌が生まれる。その繰り返しで、どんな薬も効かない『スーパーバグ』と呼ばれる最強の耐性菌が生まれる。これは世界中で問題になっている」

 薬剤耐性菌はすでに猛威を振るっており、これらによる感染症は世界で年間70万人の死者を出している。

 国連は、このままでは2050年までに薬剤耐性菌が原因で1000万人が命を落とすと警鐘を鳴らしているほどだ。

 2017年の「サイエンス」誌によると米国の抗生物質の約80%は、人間には使われていない──つまり、豚や鶏に使われ、それを食べた人間が間接的に摂取しているのだ。2013年には世界で13万1000トンを超える抗生物質が動物に投与され、2030年までには使用量は20トンを超えるという推計もある。家畜への抗生物質の乱用は、いまに始まった話ではない。

「それでもアメリカでは、農場が使用する薬の量は政府に開示する必要がなく、行政が農場をチェックすることも禁じられているのです。

 さらに、近年の研究で、抗生物質の残った肉を食べると、腸内細菌叢(腸内フローラ)を破壊する可能性があることも懸念されています。肥満や若年性の糖尿病、喘息、アレルギーなどの非感染性疾患の増加に関連するとの指摘があります。また、一部の研究者は自閉症やアルツハイマー病、パーキンソン病の発症率の増加にも関連しているとみています」(大西さん)

 現代人を取り巻く多くの病気の原因が、これらの薬剤濫用である可能性すらあるのだ。

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