世界で輸入禁止となった肉が続々と日本へ
スーパーで売られているものだけでなく、コンビニのサラダチキンや冷凍のから揚げなど、鶏肉の原産国はブラジルやタイが多い。
「日本が輸入する鶏肉は、多くがブラジル産かタイ産。いずれの国でも、鶏肉は巨大輸出産業です。大量生産のため、鶏が狭い鶏舎で飼われていることは容易に想像でき、抗生物質投与はまず避けられないでしょう。
タイでは、移民労働者を使って劣悪な環境で鶏肉を生産している。2002年に発がん性のある抗菌剤のニトロフランを使っていたことが発覚し、EUが輸入を禁止する事態も起きています。
ブラジルから日本に輸出されてきた鶏肉は、2005年に合成抗菌剤残留、2011年に残留抗生物質、2019年にサルモネラ菌に汚染、と違反だらけ。昨年は新型コロナウイルスが検出され、大問題になりました」(小倉さん)
そもそも、ブラジル産の鶏肉は、かねてより遺伝子組み換え飼料の毒性、ホルモン剤・抗生物質の大量投与による残留などが指摘されている。一体なぜ、そんなものが大量に日本に輸入されるようになったのか。
「背景には、もともとの主要輸出先であったアメリカから輸入を禁止されたことがあります。ホルモン牛を生産するアメリカでさえ、ブラジルから自国への鶏肉の輸入を禁止したことからも、疑念は払拭できません」(鈴木さん)
実際に、アメリカで食べられている鶏肉は、その99%がアメリカ国産だという。
「わずか1%の輸入鶏肉も、カナダ産とチリ産です。現地でタイ、ブラジルから入ってきた鶏肉を見かけることはありません」(大西さん)
そのアメリカでも、富裕層など食の安全に敏感な層を中心に「ホルモンフリー」「抗生物質フリー」の肉を求める潮流が強くなっている。
米マクドナルドは2018年に「ホルモン剤を使った牛の使用量を減らす」と宣言し、同ケンタッキー・フライド・チキンも「抗生物質なしの鶏肉を提供する」と宣言した。